ワガママ王子サマ♔

ワガママ王子サマ♔

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少女は、ボートに乗って王国にたどり着いた。
ボートは少女のお気にいりだった。
少女のボートにみんな乗りたがった。
だけど少女は、誰もボートには乗せなかった。

ある日、王子は川のほとりを散歩していた。
少女は王子に話しかけた。
それからは散歩のたびに、王子は少女と話した。
少女は王子の話が好きだと言った。
王子も少女と話すのが好きだった。
ある日、少女は王子をボートに乗せた。
王子と少女は誰にもじゃまされない場所で、気が済むまで語り明かした。
少女のボートに乗りたがった人たちは嫉妬した。
だけど王子にとっては関係なかった。
少女のボートに乗れることは自慢でもなんでもなかった。
ただ、気が済むまで話せることが嬉しかった。

大きな波がきても、強い風が吹いても
ボートは揺られるけれど転覆はしなかった。
王子と少女は、ボートの上で話し続けた。

ときどき少女は、ひとりでボートに乗って岸から離れた。
ひとりになりたい気持ちはよくわかった。
少女は気が向けばひとりで岸を離れ、気が向けば王子を乗せた。

ある日王子は、新しい馬を飼った。
その馬を見て少女は、王子はボートよりも馬を好きになったと思った。
だけど王子は、ボートとくらべて馬を飼ったわけではなかった。
陸では馬が便利。
水上ではボートが便利。
そのどちらが優れているとか、そんなことは比べるようなことではなかった。

だけど少女は、その素敵な自分のボートを、馬とくらべて価値がないのだと思った。
馬は陸を人よりも速く駆けた。
少女は駆け足には自信があったが、馬には勝てなかった。
風のように駆けていくその姿を見て、少女は大切な自分のボートを蹴った。
そのボートは風のように美しく水面をすべるというのに。

少女は岸とボートをつなぐ縄を解いた。
ボートは岸から離れていった。
途端に少女は不安になった。
岸にいる人々に向かって、叫んだ。

「どうしてみんな、私から離れていくの!」

少女は大声で叫び続けた。
みんないなくなっていく。
みんな離れていく。
誰も私を大切にしてくれない。
誰も私を愛してくれない。
どうして離れるの。
離れないでよ。
どこにも行かないでよ!!

ボートは少女を乗せて、どんどんと岸を離れた。
だけど少女からは、みんながボートから離れていくように見えた。

少女は泣いた。
泣いて泣いて、空を見上げて泣いた。

少女はどこにたどりつくのだろう。
少女は帰ってくるのか、それともどこかに流れ着くのか。

その場所が少女にとって、居心地のいい場所であればいい。
そう願って、王子は馬を走らせた。
自分の城に向かって。
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